
ひつじサミット尾州は、三星毛糸の岩田真吾社長が発起人となって始まりました。
尾州地域は古くから繊維産業で栄え、今でも毛織物の一大産地として全国一のシェアを
誇っています。
世界三大毛織物産地といえば、
・イタリアのビエラ
・イギリスのハダースフィールド
・日本の尾州
と並んで称されるほど。
尾州って実はとってもすごいんです。
でもその道のりは波乱万丈で、先人たちの努力と機転で何度も危機を乗り越えてきました。
そして今もまた、とても厳しい状況に置かれています。
バブルの崩壊で「ガチャマン」と呼ばれていた時代が去ると、新しい担い手はどんどん
減り、技術者の高齢化が進むばかり。
後継者がおらず廃業となった工場も少なくありません。
そんな最中の、コロナ禍。
アパレル業界に大打撃を与え、繊維業全体が苦境に陥っています。
紡績、撚糸、染色、製織、その他加工を地域全体で行っている尾州。
どれか一つでも欠けることはできません。
一人ひとりにできることは限られるけれど、みんなで一緒に頑張ろう!
暗く重い雰囲気の尾州を照らす灯り、それが産業観光イベント「ひつじサミット尾州」
今回はそんな「ひつじサミット尾州」に参加したお話し。

詳しくは↓
匠染色さんは、ニッケ起ダイイングと同じく糸染めのひとつであるチーズ染色を主に行っている会社さん。
工場見学に参加させてもらって、お話を聞かせてもらってきました。
苦労していることや工夫していること、わかる!一緒!と思いながら聞いていました。
違うところは、バラ毛・ワタ毛を染色していること。
糸染めのノウハウや設備を流用したりと、今もなお、品質向上のために試行錯誤を繰り返していました。
今まで使っていた設備を改良する、製法を見直す。
言葉にすると簡単で当たり前のようですが、実現するまでに相当の苦労があったことは
想像に難くありません。

森保染色さんは、染色を主としている点は同じですが、チーズ染色のほかにも製品染や特殊加工など手広く手掛けている会社さん。
その中でも特筆すべきは、「ジャパンウールプロジェクト」
日本国内にいる羊の毛を用いた、国産羊毛による毛織物。それを日本の工場で加工・製品化までを行う取り組みに参加されていました。
森保染色さんが担当されていたのは、
・羊毛の洗い加工
・開繊してのゴミ除去
・わたや糸の染色加工
洗い作業や開繊を見学させてもらいましたが、ほかの用途の設備を改良して使用していたり、設備を手作りされていたり、随所に創意工夫が見られました。
そして、刈り取られた羊毛を糸にするまでの大変さを思い知らされました。
いつもの手元に届く糸ができるまでに、これほどまでの手間と時間がかかるのかと。
国産羊毛を国内の工場で加工する、徹底したメイドインジャパンへのこだわり。
利害だけでは決してない、たくさんの愛があるのを感じました。

誰もが現状維持では満足していませんでした。
常に改良を、常に最新の技術を、常に新しい活路を
一人ひとりが先駆者となって前へと進もうとしていました。
同業他社で、普段はライバル関係。
きっと「ひつじサミット尾州」というきっかけがなかったら、実現しなかった交流。
情報共有をすることで見えてくること、新たな発見ももしかしたら見つかるかもしれません。
一人では妄想だった、「あれがやりたいこれがやりたい」も仲間がいれば実現するかもしれません。
こうした積み重ねが、染色の技術向上、ひいては尾州繊維の品質向上・発展につながるのでしょう。
その一端を担えるよう、これからも精進してまいります。
三星毛糸の岩田真吾社長と「ひつじサミット尾州」の11人の共同発起人の皆さまに感謝と尊敬の念を込めて。
途中でひつじの隠れ家様でランチもしたよ🐏
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